幹線道路から少し奥に入った住宅街に建つガレージ付の住宅。柱や梁には高知県嶺北の杉材を使い木組を見せる伝統構法で建てました。玄関まで長めのアプローチを設け、その脇には南北の庭と共に植栽をおこない、道行く人に季節のうつろいを感じさせています。
また、夜は格子から溢れる光が通りまで明るく照らします。大屋根は周辺の家並みに調和するよう、切り妻に銀黒の釉薬瓦を葺いています。一方下屋は、緩やかな勾配をもつグレー色の金属屋根としたため、周辺から見てもあまり圧迫感がありません。外壁は節のあるスギの赤身板の横張りに押縁とし、建て主がセルフビルドで柿渋と桐油を塗りました。
新築時の美しさだけでなく、年数を重ねる中で本物の素材の持つ良さが、より深みを増して街なみに溶け込み、日々の暮らしを優しく見守っています。